誤った認識を改めるのがオーラルケアの課題

口内環境を良好に保つのがオーラルケアの目的ですが、すべての人が指導内容を遵守するとは限りません。中には、古くから伝わる迷信や誤った方法を信じ、かえって口内環境を悪化させてしまうケースがあるのです。オーラルケアは、単に虫歯や歯周病などの原因を取り除くだけではなく、口内環境を改善させる重要性や正しい認識を広める目的があるともいえます。口内環境に関する誤った認識で多いのが、特定の飲食物を摂取すれば虫歯にならないという迷信です。歯を作るカルシウムが含まれている、殺菌作用があるなどの理由が迷信につながっていますが、それらの飲食物を摂取することで、トラブルに見舞われるリスクが減る医学的根拠は存在しません。

また、広く行われている歯磨きの方法も、大きな誤りがあることはあまり知られていないのが現状です。歯を磨く際に、力いっぱい歯ブラシを押し付けても、歯石は取れません。歯茎や舌も一緒に磨けば、ほどよい刺激を受けて血行が改善される俗説もあります。これも医学的根拠がないばかりか、歯ブラシの毛先で歯茎や舌に傷が生じる恐れがあるのです。誤った方法を続けていると歯や歯茎、舌がひどく傷ついてしまうので、絶対に避けましょう。医療機関で行うオーラルケアは、患者側の誤った知識や思い込みを払しょくし、正しい方法を啓発することも重要なポイントになります。自己流の方法を長く続けている中高年層の人ほど、拒絶しやすい傾向があるので、指導は根気強く続けることが大切です。